精密検査(細胞診、針生検等)について
マンモグラフィや乳房超音波検査でがんを疑う異常が見つかった場合、穿刺吸引細胞診や針生検を行います。
穿刺吸引細胞診(FNA、fine needle aspiration cytology)は採血用の細い針を異常のある部分にさして注射器で吸うことで、細胞を採取する検査法です。針が細いため局所麻酔はしません。また、針生検と比較して出血等の合併症が少ない検査法です。ただし、論文によると穿刺吸引細胞診の感度(癌を癌と診断出来る確率)は74%(私個人の実績はもっと良いです)、特異度(癌ではないものを癌ではないと診断できる確率)96%です。すなわちがんなのにがんと診断できなかったり、がんではないのにがんと診断されてしまうことがあります。
針生検(CNB, core needle biopsy)は鉛筆の芯ぐらいの比較的太い針を異常に突き刺して細胞診のようにばらばらの細胞ではなく、細長い塊(組織片)として採取して診断します。太めの針を刺すため穿刺する部分に局所麻酔(キシロカイン)の注射をしてから穿刺します。キシロカインアレルギーのある方には別の局所麻酔薬を用いて実施します。検査で出血する方もいます。その場合、かたい血の塊(血腫)になったり、皮下に血が広がって皮膚が紫になったり、どす黒くなる方もいますが、2~3週間でほぼ分からない状態まで治ります。論文によるとCNBの感度87%(これも私個人は約95%です。CNBでがんと診断されなかったけど画像診断からは癌を強く疑いCNBの結果に納得できずVAB(画像ガイド下吸引式組織生検)を追加で実施してがんと診断することが何度かありました),特異度98%ですので細胞診よりは確実な検査といえます。
穿刺吸引細胞診をするか針生検をするかはこちらからご提案します。姫路赤十字病院在籍時代には針生検(CNB、VAB)を中心に行い、穿刺吸引細胞診に関しては腋窩リンパ節(わきにあるリンパ節)に実施していました。しかし、乳腺クリニックではまず穿刺吸引細胞診を実施する機会が多いです。
費用について
(初診料、再診料等以外。今後改正されることはあり得る)
穿刺吸引細胞診を超音波ガイド下に行った場合の手技料,超音波検査費用,病理診断料を含む医療費全体(10割)は 11,000円。
針生検(CNB)を超音波ガイド下に行った場合の手技料,超音波検査費用,標本作製料,病理診断料を含む医療費全体は 25,800円。
針生検でホルモン受容体,HER2の免疫組織化学法を行った場合には,さらに,15,900円 が加算されます。
知っておいてください
- マンモグラフィや乳房超音波検査では自己触診ではみつからないがんも見つかる。
- 近年、日本人女性の10人に1人が乳がんにかかると言われています。
- 乳がんは40~50代女性のがん死亡原因ナンバーワン。
- 自己触診では見つからないケースがたくさんある。