術後薬物療法(ホルモン療法、抗HER2薬)について
浸潤癌でホルモン受容体陽性乳がんの方は術後に再発予防のためにホルモン療法(女性ホルモンであるエストロゲンを抑制することで再発する可能性を低下させる)を行います。閉経前と閉経後によって使用する薬に違いがありますが、代表的な内服薬にタモキシフェンとアナストロゾールがあります。現在、内服期間は5年以上とされており、タモキシフェンは10年内服するのが適切となっています。閉経前女性にはLH-RHアゴニスト(3ヶ月毎に前腹部の皮下に注射するゾラデックスやリュープリン)を併用することもあります。これは卵巣を刺激するホルモンを抑制することでさらに強くエストロゲンの分泌を抑制することが目的です。ただし、3ヶ月に1回、皮下に太い注射をするので痛みを伴う治療となります。全員に使用するわけではなく、再発のリスクに応じて使用するかどうかが決まります。なお、非浸潤性乳管癌の方にも状況によってはホルモン療法をご提案することがあります。
6mm以上の浸潤癌でHER2受容体陽性の方には手術の前後合計して1年間の坑HER2薬(ハーセプチン)を点滴します。例えば半年間術前化学療法としてハーセプチン投与をお受けになった方は、手術が終わってから半年間ハーセプチン(3週間毎)を投与します。
以上のように術後に長期間のホルモン療法やハーセプチン投与が必要となりますが、術後の治療は当クリニックで担当させていただきます。これは基幹病院の化学療法室や外来の医師や医療スタッフの方々の業務負担の軽減、働き方改革のためと同時に、患者さん方のストレス軽減(長時間の待ち時間等)、利便性向上(当院は完全予約制で駐車場も広くて4時間無料)のためです。
乳がん術後の方は3ヶ月毎の採血、半年毎の超音波検査、1年毎のマンモグラフィをお受けになることをご提案申し上げます。